心臓病による死亡の多くは、病院の外で突然起こります。
心停止から3分で脳障害が始まるとされ、心停止から1分ごとに救命率は7~10パーセントさがります。
一方、救急車の平均到着時間は8分30秒といわれています。その8分30秒の間にできることがあります。それが、心肺蘇生法です。
一般市民の方による「迅速な救急通報」、「心肺蘇生法」と「AED」は、救急隊や医療機関での処置と比べて、心停止患者の救命、社会復帰により大きく貢献するといわれています。
救命の為にはその場に居合わせた人の心肺蘇生が不可欠なのです。
心臓や呼吸が止まってしまった人に対して、胸骨圧迫と人工呼吸によって、止まってしまった心臓と呼吸の動きを助ける方法です。
日本医師会の救急蘇生法サイトから「心肺蘇生法の手順」「子どもの一次救命処置」「気道異物除去の手順」をご覧いただけます。
心臓が突然止まる原因として、心臓が"ブルブル"とケイレンする心室細動という不整脈によって生じることがあります。その場合、早期に電気ショックを与えて心臓のケイレンを取り除くことが必要になります。
AEDは、Automated External Defibrillatorの頭文字をとったもので、日本語訳は自動体外除細動器といいます。
AEDは、体外(裸の胸の上)に貼った電極のついたパッドから自動的に心臓の状態を判断します。心室細動という不整脈を起こしていれば、強い電流を一瞬流して心臓にショックを与えること(電気ショック)で、心臓の状態を制j等に戻す機能を持っています。音声メッセージで指示してくれるため、一般市民も使用できます。
(注)AEDは、心臓のケイレンを取り除くための機器であり、心肺蘇生法の代替ではないため、心肺蘇生法とAEDを組合せて行うことが重要になります。
令和元年5月に、京都大学等の研究グループから、次のような報告がなされました。
全国の学校の構内で心停止となった子ども232人について、救急隊が到着する前にAEDのパッドが装着されたかどうか調べたところ、小学生と中学生では男女に有意な差はありませんでしたが、高校生になると大きな男女差が出ていました。
研究グループによると、女性の服を脱がせることへの抵抗感から、AEDの使用率に男女差が生じているのではないかと分析されていました。
AEDは電源を入れて2枚のパッドを素肌に貼りますが、服をすべて脱がせる必要はなく、下着をずらして貼ることで対応できます。また、パッドを貼ったあと、そのうえから服などをかけて肌を隠すようにしても、AEDの機能に影響はありません。しかし、このような女性に配慮したAEDの使用方法が、一般の人に十分に浸透していないと思われます。
電気ショックが1分遅れるごとに、救命率は10パーセントずつ低下するといわれています。ただし、居合わせた人の心蘇生があると、低下は3 ~ 4パーセントにとどまるとされます。
心室細動からの救命には、一刻も早く胸骨圧迫(心臓マッサージ)と電気ショックを行うことです。
出典:多摩府中保健所